備忘録 緑内障
定義
視神経が死んでいく進行性の病気。緑内障に特徴的な変化が視神経と視野におきる。眼圧は上がらないことのほうがむしろ多い(→多治見スタディ)。診断基準にも眼圧は入っていない。
統計データ
多治見スタディ:40歳以上対象
- 全緑内障有病率5%、70歳以上では10%
- 広義の原発開放隅角緑内障 3.9%
- 原発開放隅角緑内障 0.3%
- 正常眼圧緑内障 3.6%
- 原発閉塞隅角緑内障 0.6%
- 続発緑内障 0.5%
久米島スタディにおける緑内障発作
- 沖縄は緑内障・閉塞隅角が多い
- 対象:3762人
- 閉塞隅角154人 うち緑内障発作で受診歴あり10人
- 閉塞隅角緑内障82人 うち緑内障発作で受診歴あり13人
現在、失明原因のトップ(20%強)
症状
- 自覚症状はほとんどない
- 気づかないまま進行して末期になることが多い
- 視野欠損は「なんとなく見えない」「メガネが曇っているような感じ」「あるはずのものが見えない」→真っ黒になるわけではない
- 視野検査結果に暗点がでている=30%以上の神経がすでに死滅
診断
- 眼底写真
- 眼圧(正常眼圧緑内障が多いので眼圧だけでは不十分)
- OCT(Optical Coherence Tomography):光干渉断層計(眼底三次元画像解析)→前視野緑内障(PPG:Preperimetric glaucome 緑内障性視野変化はないが画像は緑内障変化あり)の早期診断が可能
- 視野変化なくても治療したほうが良いハイリスク
- 視神経乳頭出血:緑内障になりやすい、進行しやすい
治療について
- 眼圧を下げる:眼圧下降にまさるエビデンスのある治療は今のところない
- 開放と閉塞で方針が異なる
- 開放隅角:まずは点眼治療→うまくいかなければ手術(いちおうの目安:3剤使っても眼圧下がらない)
- 繊維柱帯切除術→術後の眼圧管理必要、術後の抗菌薬・ステロイド点眼はほぼ一生継続
- 濾過胞感染に注意(1~2%)
- チューブシャント手術の優位性はまだなし
- 閉塞隅角:まずは手術
緑内障禁忌の薬の使用
- たいていは大丈夫
- 禁忌薬剤=散瞳薬 → 閉塞隅角の場合、散瞳すると眼圧が上がることがある。実際に上がる割合は統計なし。
- 開放隅角のほうが多数→散瞳しても何もおこらない(例外はある)
- 閉塞隅角は少数→しかもほとんどの場合、処置されているので問題ない(例外はある)
- 本当に眼圧が上がる可能性が高いのは眼科にかかったことのないひと(放置されている閉塞隅角)
- 遠視の人は隅角がせまいことが多く、しかも眼科受診率が低い→高リスク
- 近視眼は隅角広い、白内障手術眼も隅角広い、しかもいずれも眼科受診している→リスク低い
- 正確には緑内障に関係なく「狭隅角症」が禁忌
- 散瞳薬を継続するなら一度は眼科へ
- ステロイドによる眼圧上昇は隅角とは関係ない。ある程度遺伝的に決まっている(ステロイドレスポンダー)。子供におきやすい。点眼にかぎらず、内服・外用・点鼻でも起こる可能性あり。
緑内障発作について
- 隅角が閉じてしまい急激に眼圧上昇
- 正式名称「急性閉塞隅角緑内障」「急性閉塞隅角症」
- 原因は薬物、精神興奮、下を見ていた、など。特別な理由なく突然に、ということも多い
- 頭痛・眼痛・悪心・嘔吐・視力低下・・・あまり強い痛みが出ないこともある
- 充血・散瞳・対光反射の減弱や消失
- 眼圧上昇:40~80mmHg(確定診断)
- 眼底変化はまだ起きていないので眼底を見ても診断はできない
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