平成29年3月5日(日)、「第39回大阪42.195kmフルマラソン大会」に出場しました。結果は惨憺たるものでしたが、自分への戒めの意味もこめて、大会レポートを記事にします。

開催地は大阪市東住吉区にある長居公園。公園内の道路をぐるっと回ってヤンマーフィールド長居(長居第2陸上競技場)に入りトラックを走って1周となるコースを12周する周回コースで、ほとんどアップダウンのないフラットコースです。


朝7時前に家を出て、8時20分頃、地下鉄御堂筋線長居駅に到着。駅の3番出口を出ると目の前が長居公園です。8時30分から受付開始。ヤンマーフィールド長居内エントランスに受付と貴重品預かり、荷物置き場、更衣室が設けられているので、手続きをすませてゼッケンと計測チップ(シューズにつけるタイプ)、参加賞を受け取り、更衣室で着替えます。更衣室はあまり広くないので入れる人数は限られており、着替えをすませた人は次の人に場所を譲って更衣室を出ますが、それでも間に合わないので、更衣室前の廊下にも着替えの人があふれていました。また、貴重品は、大会側が用意してくれるA4サイズ封筒に入れ、ゼッケンナンバー・氏名を記入して預けます。


今回のコースは周回コースなのですが、「周回チェックは自分でおこなってください」とのことで、間違えずにちゃんと数えられるだろうかと不安に思っていましたところ、なんと周回チェックの秘密兵器が用意されていました。


秘密兵器の名は「輪ゴム」!12本の輪ゴムを手首にかけておき、1周終わるごとに1本捨てていく、という画期的なシステムです。ヤンマーフィールドのトラックにはゴムを捨てるための段ボール箱もきちんと用意されています。もちろん、計測チップがあるので、運営側は各選手が何周目のラインを通過したかを把握でき、もし12周終わってないのにゴールしてしまった人にはちゃんと指摘してくれますし、間違って1周多く走ってしまったとしても、12周を走り終えた時点のタイムが記録になるとのことです。まあ、私の場合はGPSウォッチで距離がわかるので1周間違えることはまずないのですが。

9時30分からヤンマーフィールド長居で開会式がおこなわれ、我々参加者はスタンドで大会役員からの説明、注意事項を聞きます。開会式が終わると、スタッフに先導されてスタート地点へ向かいます。スタート地点で再び、注意事項の説明。ピストルがうまく鳴らなくてもスタートしてください、とのこと。過去に一度そういうことがあったそうですが、ピストルが鳴ろうが鳴るまいが、10時00分をもってタイム計測の時計はスタートすることになっているのだそうです。したがってタイムは10時00分から、ゴールラインを踏んだ時点までの時間となります。計測チップを使用していますが、スタートラインを踏んだ時点の記録をおこなわないため、ネットタイムの計測ができず、グロスタイムのみの計測となります。


10時00分、号砲がしっかりと鳴ってスタート。初のフルマラソンということもあり、慎重にキロ5分オーバーのペースで様子を見ようと思っていたのですが、周りのペースに乗ってしまい、キロ4分30~40分あたりのペースで入ってしまいました。ただ、その時点では全くしんどくもなかったので、「まあ、いいか」と思ってそのペースのままで快調に走っていきました。これが甘かったと後々思い知らされることになります。

20kmまでは4分台のペースで問題もなく行けていたのですが、20km過ぎたところで、突然、左膝外側に覚えのある違和感を感じました―腸脛靭帯炎です。

腸脛靭帯炎:別名ランナーズ・ニー。膝の過度の屈伸運動により、腸脛靭帯(腸骨から大腿外側を通り脛骨外側に到る靭帯)が大腿骨外側顆の骨隆起と摩擦を繰り返して炎症を起こし、疼痛が発生する。

私は過去に何度も腸脛靭帯炎を経験していますが、この1年ほど全く症状が出ていなかったのに、このタイミングでの再発とは・・・・「勘弁してくれ」と心の中で叫びました。思うに、3週間前にハーフマラソンを走って、その疲れがきちんと抜けていない上に、序盤からやや飛ばし気味だったため、負担が蓄積してしまったのでしょう。まだ違和感のレベルにとどまっているので何とか走り続けることはできますが、左脚をかばいながらの走りになるため、ペースはがくんと落ちます。左脚の踏み込みはほとんどなく、右脚一本で進んでいるような状況のため、右脚の疲労が2倍の速度で進行していきます。それでも30kmまではなんとかキロ5分台を維持しますが、それ以降、ペースはキロ6分台に落ち、脚に尋常でない重さとだるさを感じます。もはや自分の体の一部ではないような感覚です。さらに悪いことに私は給水を一切利用していませんでした。練習で何回か35kmほど走ったことがあるのですが、その時も最初から最後まで水分補給はしなかったので、給水はいらないだろうと思ってしまっていたのです。水分・塩分の不足が脚の状況に悪影響を与えた可能性も否定できません。そのことにようやく気付いて、9週目のエイドでスポーツドリンクを初摂取。しかし時すでに遅く、脚の状況は改善しません。心肺機能は全く疲れていないのですが、両脚はもはや仮死状態となり、走っているのか歩いているのかわからない状態になります。こんなみじめな走りをするのは生まれて初めてです。

ペースもどんどん落ちていきますが、意地でなんとか走り続けます。しかし、残りあと1周を目前にして、とうとう限界が来て、歩き始めてしまいます。事ここに至っては、ゴールにたどり着くことだけが望みですが、今や歩くことすらおぼつきません。脚が言うことを聞かず、足元がふらつきます。さらに両手がしびれてきました。朦朧とする意識の中で「これはひょっとして低血糖では・・・」と思い、エイドでドーナツをもらって急いで頬張り糖分を補給します。しばらくすると糖分が吸収され始めたのか、少し楽になってきました。しかし脚のほうは相変わらず、意地で走ろうとするのですが、走りだすと間もなくハムストリングの辺りが攣りそうになり、また歩いてしまう、の繰り返しです。そうこうするうちにヤンマーフィールドまでたどり着き、最後のトラック走に入ります。ゴールくらいはちゃんと走って駆け抜けたいと思い、最後の力を振り絞って必死に走ってゴール。その足でエントランスへ向かい、記録証を受け取ります。記録は4時間9分8秒。フル男子の部139位(エントリーは554人)。走る前はサブ4(4時間切り)は余裕でいけるはず、あわよくばサブ3.5(3時間半切り)、と思っていましたが、いかに甘かったか思い知らされました。レース完走後にいつも感じる独特の昂揚感は全くなく、ただただ悔しさがつのるばかりでした。


一応、GPSウォッチの記録によるペースを以下に記載しておきます。

1km:4'31"/km
2km:4'38"/km
3km:4'33"/km
4km:4'34"/km
5km:4'39"/km
6km:4'34"/km
7km:4'33"/km
8km:4'31"/km
9km:4'40"/km
10km:4'39"/km
11km:4'31"/km
12km:4'39"/km
13km:4'44"/km
14km:4'32"/km
15km:4'33"/km
16km:4'43"/km
17km:4'36"/km
18km:4'37"/km
19km:4'43"/km
20km:4'55"/km
21km:5'26"/km
22km:5'25"/km
23km:5'49"/km
24km:5'26"/km
25km:5'18"/km
26km:5'27"/km
27km:5'34"/km
28km:5'14"/km
29km:5'39"/km
30km:5'39"/km
31km:6'01"/km
32km:6'19"/km
33km:6'06"/km
34km:6'01"/km
35km:6'16"/km
36km:7'20"/km
37km:7'05"/km
38km:6'45"/km
39km:10'17"/km
40km:15'27"/km
41km:11'49"/km
42km:8'39"/km

今回のレースは惨敗というほかありません。敗因はやはり序盤のオーバーペースでしょう。少し速めだと思いながらも、ペースを落とすことができませんでした。元気のある序盤のうちに距離を稼いでおけば、後半ペースが落ちても目標タイムをクリアできるという、ありがちな皮算用の誘惑に私も負けてしまったのです。また、3週間前のハーフマラソンで満足できる結果を残せたことで、少し自信過剰になっていた面もあったかもしれません。フルマラソンに関するアドバイスとして耳にタコができるほど聞かされるのが、「前半はとにかくペースを抑えろ」ということですが、これは本当です。貯金すべきは距離ではなく、体力なのだと身をもって知りました。

今回のようなみじめな結果はできればなかったことにしたいところです。本音をいえばこんな記事は書きたくありません。しかし、失敗を胸に刻むことなしに前進はありません。自らへの戒めとして、そして、これからフルマラソンに初挑戦するランナーへの教訓として、この記事を書き残しておきます。