新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の情報をソース付きで紹介しています。

今回とりあげるのはこの論文です。
"Clinical Characteristics of 138 Hospitalized Patients With 2019 Novel Coronavirus-Infected Pneumonia in Wuhan, China"(中国武漢における新型肺炎入院患者138人の臨床的特徴)
JAMA. Published online February 7, 2020. doi:10.1001/jama.2020.1585

新型コロナウイルス2019-nCoV(SARS-CoV-2)による肺炎で入院した患者を、ICUでの治療が必要になった重症患者とそれ以外の患者とに分け、両者の背景や症状を比較した興味深い調査です。

対象になったのは、中国武漢大学中南病院に入院した138人で、そのうち、ICUでの治療が必要になったのは36人、必要がなかったのが102人です。ICUに移った患者のうち、6人が死亡しています。

性別

 数字だけ見ると、男性のほうが女性に比べてICUでの治療が必要になる(重症化する)可能性が高いように思えますが、このデータだけでは何とも言えないでしょう。ただ、男性のほうが致死率が高いという研究もあるそうで、喫煙率の男女差(中国では男性54%、女性2.6%)が背景にあるのではないかという推測も出ています。喫煙による重症化のリスクは今のところ明確ではありませんが、喫煙による諸々のリスクを考えれば、これを機に禁煙するにこしたことはないでしょうね。

併存疾患

基礎疾患のある方は重症化のリスクが高くなるというのはすでに広く知られている通りです。喘息や、免疫抑制剤を服用しなければいけない自己免疫疾患も、当然リスクになると思いますが、今回の調査では上がってきていないようです。

症状

ICU患者に多かった症状は、咽頭痛、呼吸困難、めまい、腹痛、食欲不振などというデータです。まあ、呼吸困難などは、だからこそICUに移されたのでしょうから、当然と言えば当然のような気もします。

大変興味深い調査だと思いますが、いかんせん一つの病院の限られた数のデータなので、この結果だけで何か断定的なことは言えないでしょう。さらに大規模での解析が待たれるところです。