新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連の情報をソース付きで紹介していこうと思います。

今回とりあげるのはこの論文です。
”The epidemiological characteristics of an outbreak of 2019 novel coronavirus diseases (COVID-19) in China”(中国におけるCOVID-19流行の疫学的特徴)
Zhang Y., et al. Zhonghua Liu Xing Bing Xue Za Zhi. 2020 Feb 17;41:145-151.

中国疾病管理予防センター(CCDC)の張彦平氏らがChinese journal of Epidemiology誌(中华流行病学杂志)オンライン版2020年2月17日号に掲載した報告です。

2020年2月11日までに中国で報告されたすべてのCOVID-19症例を分析したところ、以下のような結果が出たということです。

計7万2,314例の患者記録の内訳

確定(咽頭スワブでのPCR検査陽性):4万4,672例(61.8%)
疑い(症状と暴露状況に基づき臨床的に診断された症例):1万6,186例(22.4%)
臨床診断(湖北省のみ。COVID-19と一致する肺造影像疑いの症例):1万567例(14.6%)
無症候(検査陽性だが、発熱やから咳などの症状がみられない症例):889例(1.2%)

以下のデータはすべて確定例での分析結果です。

年齢構成

9歳以下:416例(0.9%)
10~19歳:549例(1.2%)
20~29歳:3,619例(8.1%)
30~39歳:7,600例(17.0%)
40~49歳:8,571例(19.2%)
50~59歳:1万8例(22.4%)
60~69歳:8,583例(19.2%)
70~79歳:3,918例(8.8%)
80歳以上:1,408例(3.2%)

重症度

軽度:3万6,160例(80.9%)
中等度:6,168例(13.8%)
重度:2,087例(4.7%)
不明:257例(0.6%)

1,023例が死亡し、全体の致命率は2.3%。

年齢層別の死亡数(致命率、死亡率[per 10 PD])

9歳以下:なし
10~19歳:1例(0.2%、0.002)
20~29歳:7例(0.2%、0.001)
30~39歳:18例(0.2%、0.002)
40~49歳:38例(0.4%、0.003)
50~59歳:130例(1.3%、0.009)
60~69歳:309例(3.6%、0.024)
70~79歳:312例(8.0%、0.056)
80歳以上:208例(14.8%、0.111)
※致命率:(死亡例数/確定例数)×100(%) 死亡率:死亡例数/総観察時間(per 10 person-days[PD])

併存疾患別の死亡数(致命率、死亡率[per 10 PD])

心血管疾患92例(10.5%、0.068)
糖尿病80例(7.3%、0.045)
慢性呼吸器疾患32例(6.3%、0.040)
高血圧161例(6.0%、0.038)
がん6例(5.6%、0.036)
併存疾患なし:133例(0.9%、0.005)

この論文によると、「発症の流行曲線は1月23~26日頃および2月1日にピークに達し、その後減少傾向にある」とのことですが、このまま徐々に収束に向かってくれるのでしょうか。もっとも、中国で収束に向かったからといって、日本で収束に向かうかはまた別の話ですが。日本でも早く症例解析が出て対策に役立てられることを期待します。